ドラッグをめぐる問題 - 日本の場合
今回の日本での滞在中、大きなニュースとなっていたのが、大麻汚染である。以前にも書いた通り (>ドラッグをめぐる問題)、私は社会問題としてのドラッグに関心があるので、今回の大麻に関するニュースもとても興味深いものがあった。少し前には、相撲界での大麻使用が問題になっていたが、今回ニュースとなったのは、プロ・テニス・プレイヤーが大麻所持の疑いで逮捕されとことと、大学生がキャンパス内で大麻を販売して逮捕されたことである。
こういうニュースはいつも、スキャンダラスに報道される。ニュースを見る者が、「スポーツ選手や大学生が大麻を吸うなんて、世も末だ。」 と思うように作られている。ドラッグについて曖昧な知識しか持たない一般の人が、「大麻は恐ろしいものだ。」 という刷り込みをされるようにできている。
このような報道の仕方は、ドラッグに対する恐怖を人々の心に引き起こす。恐怖心を煽って人々をドラッグから遠ざけようとするやり方は、大半の人には効き目があるかもしれない。でも、どんなに 「ドラッグは危険だ。犯罪だ。」 と訴えても、ドラッグに興味を持つ人やドラッグを求める人が絶えないのが現実である。危険だ違法だと訴えるだけで撲滅できるようなものなら、ドラッグ問題はとうに解決しているはずだ。
日本におけるドラッグ問題のひとつは、このような恐怖心ばかりを煽る報道の仕方や、違法ドラッグをすべてひとくくりにして 「悪」 とする情報源にあると思う。例えば、これらのサイト。
>ノー!ドラッグ
>薬物乱用防止 「ダメ。ゼッタイ。」 ホームページ
「ノー!ドラッグ」 のサイトでは、覚せい剤、大麻、シンナー、コカイン、LSDを並べて、全て同等に害があるように書かれており、私はとても驚いた。こういう情報は非常に危険である。大麻を興味本位で吸ってしまっというような人が、「なんだ。みんな恐ろしいものだって大騒ぎするけど、ドラッグなんてぜんぜん危険じゃないじゃないか。」 と他のハードドラッグにも手を出すきっかけを作っているようなものだ。これが、大麻がゲートウェイドラッグ (ハードドラッグへの入り口となるドラッグ) であると言われる原因のひとつである。大麻とハードドラッグを明確に区別する正しい情報が与えられれば、大麻からハードドラッグへ移る人の数は少なくなるだろう。
本当にドラッグ問題を減少したいと思うなら、大麻が煙草やアルコールよりも危険だという医学的根拠はどこにもないということや、ニコチンやカフェインやアルコールに比べて依存性が非常に低いことや、大麻を吸って死亡するようなことはないということを、きちんと書くべきであると思う。そして、コカインやヘロインなどは、大麻なんかとは格が違うハードドラッグだということを、明確にするべきである。
「ダメ。ゼッタイ。」 のサイトでは、各ドラッグについての詳しい説明がされているが、大麻についてはでっちあげもいいところである。まあ、煙を吸うので喉を傷めることはあるにしても、それじゃあどうして煙草については触れないのだろう、という疑問が湧く。その他の身体的影響、精神的影響については、読み手に恐怖心を引き起こすのが目的の、根拠のないでっちあげばかりである。仮にもし事実だったとしたら、誰がいつ発表した研究結果で、何パーセントの人にそのような症状が出ているのかを明記するのが筋ではないか。
このようなサイトで語られるのは、いつも違法ドラッグについてばかりで、合法ドラッグである煙草やアルコールやカフェインについては一切触れることがない。害があることがこれほど明らかな煙草やアルコールが合法なのに、なぜ大麻が違法なのかという説明もない。これにはきちんとした歴史的背景 (陰謀と言った方がいいかもしれない。) があるのに、そんなことはもちろん語られない。それを書いては都合が悪いからである。
このようなサイトに限らず、大麻も他のハードドラッグもひとくくりにして 「ドラッグは社会問題だ。撲滅させよう。」 などと叫ぶ人達は多い。そういう人達は、日中はコーヒーやカフェイン剤、夜はアルコールを摂取することを当たり前とする生活の中で、自分がドラッグを使用しているという意識がないことがほとんどではないだろうか。大麻解放を主張する人達に言わせれば、「あなたの飲んでいるそのコーヒーやワインだって、大麻と何ら変わりがないいんですよ。法律で合法とされているかどうかの違いです。」 ということになるだろう。なぜ煙草やアルコールが合法で大麻が違法なのかをしっかりと考えたこともない人が、偏った情報を鵜呑みにして、「大麻は人間をダメにする。」 とか 「ドラッグは大きな社会問題だ。」 などと言っているのを見ると、私の心は苛立つのである。
撲滅なんてできるはずがない。ドラッグ問題の真の解決は、「いつの世にもドラッグを求める人は存在する」 ということを認めて、それを前提として対策を考えることから始まるのではないだろうか。そして、恐怖心を煽るだけではなく、正しい情報を人々に与えることであると私は思う。
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>ドラッグをめぐる問題
ogitetsu のコメント
11月 25, 2008 に 6:59 pm
僕は大学時代に数回、大麻をやりました。新宿などの飲み屋で仲良くなった米人兵などが、そっと渡してくれたりしたのですが、今から思うと、退学ですね。今までに買ったという経験は有りません。
アメリカに20年前に来て、NYCなどに行くと、当時は夜なんか道を歩いていると、大麻のにおいがしたり、コンサートでも誰かがやってたりという環境でしたね。知人宅のパーティなどで、勧められて数回経験してますが、残念なことに私の場合、すぐに眠くなって寝てしまうので、楽しむという感じではなかった。最後に吸ったのも、もう15年前のことで、子供っぽいお遊びだったという気がします。
僕も自分のブログで大麻のことを書こうかと思いましたが、実は自分の姿勢とか考えが決まらないので、書く事を止めました。例えば、子供が大麻を吸っていたら、どうするか? 一過性のものだろうから深く心配はしないけれど、決して強い薬には手を出すな、とか言うでしょうね。
ただ、子供に伝えておかなければならないのは、法律で禁止されていることを行うと、こっ酷く叩かれる場合が、有るということです。公民一致して、一人の個人を叩く様は、ある意味で過剰反応というか、見ていて怖い。
オギ
Yuki のコメント
11月 25, 2008 に 11:45 pm
>オギさん
私は子どもはいないのですが、「私が親だったとしたら、どのように伝えるだろうか」 というようなことはよく考えます。「煙草は合法なのに、どうして大麻は違法なの?」 と子どもに聞かれて、正しい答えを与えられない親は多いのではないかと思います。
「こっ酷く叩かれる」 というのは、特に日本ではありますね。スポーツ選手なんかだと、もうそこでキャリアは終わりです。私もそこまで目くじら立てることはないんじゃないかと思いますが、日本では立派な犯罪なので、仕方ないと言えば仕方ないことなのでしょうか・・・。見つかると罪人なので、個人的には、そのリスクを負ってまでやりたいとは思わないですね。
ぺたぺた のコメント
11月 26, 2008 に 2:08 am
この文章を素直に読んでいて、普通に「大麻ならいいじゃん」という感覚が出てしまうのでは?
と思いました。
正しい情報を伝えるのはとても大切なことだとは思いますが、大麻の先にハードドラッグがあるとするなら、やっぱり「きっかけ」になるのではないかと思います。
「危険だから、大麻まででやめておこう」と思う人ばかりではないと思います。
もうちょっとくらい…、の気持ちがハードドラッグに繋がっているのではないでしょうか?
もちろんそこには正しい情報がないからといえばそれまでになるのかもしれませんが…。
その情報を明確にしたからといって、ドラッグを使用する人が減るというのも、あまり思えません。
間違った情報が流れているかもしれない日本ですが、酷い結果を教えられていてもドラッグをする人が年々増加しているからです。
私は煙草は全くすわないですが、アルコールは本当にたま~に飲みます。
コーヒーはどちらかというと苦手でほとんど飲みませんが、紅茶は飲むし…。
とっても難しい問題だと思うのでコメントがうまくかけないので申し訳ないですが、「大麻」がいい事だとは全く思えません。
だから、「恐さ」で埋め込まれた認識は自分なりにすごく大切だと思っています。
Yuki のコメント
11月 26, 2008 に 12:29 pm
>ぺたぺたさん
お久しぶりです。お元気ですか?
ヨーロッパでは、大麻は半合法とか、違法でも個人使用は黙認としている国が多いです。こちらでももちろん賛否両論あるのですが、私は大麻はそれほど悪いものだとは思いません。
ぺたぺたさんのおっしゃる 「恐さで埋め込まれた認識」 を与えるというのは、もちろん大切だと思います。でも、それは真実であるべきです。日本では間違った情報を人々に信じ込ませて、頭から押さえつけようとしています。そういう嘘の情報で人々を操ろうとするやり方は、私はやっぱりおかしいと思います。
例えば、カナダでは医療目的の大麻は合法ですが、日本ではそういう大麻のポジティブな面が、一般の人に語られることはまずないですよね。まあ、こういうのは日本に限ったことではなくて、ヨーロッパ諸国でも同じなのですが、日本の方がそのやり方はやはり極端だと思います。
元をたどれば、大麻が多くの国で違法になったのも、そういう嘘の情報を人々に信じ込ませることから始まりました。アメリカは、大麻を吸うことを習慣としていた黒人のジャズ・ミュージシャンや、メキシコからの移民を弾圧する手段として、「大麻は人を狂気にさせ、殺人者にさせる、魔の薬である。」 などというゴシップを作り上げ、国民の (というのは白人の) 黒人やメキシコ移民に対する反感を駆り立てたんですね。そして、自国で大麻を違法にして、それを他の国々にも同意させたわけです。
近年、先進諸国で大麻に対する法律が見直されているのは、「大麻が違法となったのは、そういう歴史的背景が原因で、実はそれほど害はないんじゃないか」 という考え方が認識されてきているというのが、ひとつの理由です。
ただ日本の場合は、現在に至るまで、あまりにも厳しく弾圧し続けてきたし、正しい情報も与えて来なかったので、いきなり解禁にしても、人々の反応が読みにくいということはありますね。イギリスなんかだと、たとえ大麻が合法になったとしても、「何を今更」 という感じで、これまでやって来た人はやり続けるだろうし、これまでやらなかった人が合法になったからといって大麻にのめりこんで、他のドラッグにも手を出すということはないと思います。
おっしゃる通り、難しい問題なので、私の文章を読んで不快になられたとしたら、すみませんでした。
ドラッグをめぐる問題 « 英国ブリストル日記 のコメント
12月 7, 2008 に 11:19 am
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