Life goes on

3月 21, 2009 at 12:00 am (日々のこと)

ほぼ毎週行くジャム・セッションで、顔を合わせる年配のカップルがいる。男性がギターでジャムに参加し、女性の方は演奏はしないけれど、座ってみんなの演奏を楽しんでいるようである。その仲の良さそうな雰囲気から、てっきり長年連れ添ったカップルなのだろうと思っていたのだが、よく話を聞いてみると、出逢ってから3ヶ月ほどだと言う。彼女も彼も60過ぎだけれど、どちらも結婚した相手を亡くし、その後に知り合ったのだそうだ。私は、二人とはこれまであまりきちんと話す機会がなかったのだけれど、昨晩の彼女はとても饒舌で、私の隣に来て色々と話してくれたのである。

どのようにして二人が出逢ったのかということ、彼はイングランド北部に住んでいたのだけれど、彼女と出逢ってブリストルに住むようになったこと、夏ごろには色々な手続きも完了し、正式にブリストルで一緒に住めるようになれるであろうこと、新しいパートナーを見つけて、自分達がどんなに幸せであるかということを語ってくれた。

私は、初対面の人やそれほど親しくない人に、夫を亡くした経験があると言うことはあまりない。その場の雰囲気や相手によって、「話してもいいかな」 という場合もあるけれど、それほど多くはない。隠しているわけではないのだけれど、話すと気まずい雰囲気になったり、相手にきまりの悪い思いをさせてしまうような気がするので、黙っていることが多い。「どうしてブリストルに来たの?」 と軽い気持ちで聞いたはずが、「実は今の夫の前に一度結婚していて、彼の仕事の都合で来たんだけど、彼が死んじゃって・・・」 などと重い話をされても迷惑だろうと思うのだ。なるべく重くならないようにさらっと話しても、「こんなに若いのに (アジア人は実年齢よりも若く見える。) かわいそうに!」 と思わせたり、「なんて言ったらいいんだ?」 などと気を使わせてしまうのが目に見えているので、こういう質問は適当にごまかして答えてしまう。

それでも昨晩は、嬉しそうに話す彼女を見て、「あなたの気持ちはとてもよくわかるよ。」 という意味で、私も少しだけ、自分のことが話したくなった。「あれほど誰かを愛することなど、二度とできないだろう。」 という思いをひしひしと感じる生活の中で、ある日、「また誰かを愛したい」 という気持ちが芽生えることの嬉しさを、そして奇跡のような出逢いが自分の身に降りかかることのありがたさを、私は身を持って知っている。新しいパートナーと新しい生活を始めることに反対する人も多いけれど、幸せになろうとしている人にとやかく言う権利など、誰にもないはずである。

ライフ・ゴーズ・オン。人生は続くのだ。大切な人を亡くしても、人は生きて行かなくてはならないのだ。私としては、できるだけ幸せな人生を送ることが、亡き者に対する最大の供養だと思っている。

8件のコメント

  1. keiko のコメント

    出合いと別れが人の世の常なら、私も立ち止まらずに進んでいくことを選びたい。
    それでも地球は回っている・・・のですものね。
    出合った人々を愛しみ、そして、これから出合う人々を大切にしていきたいと思う毎日です。

  2. Mevrouw のコメント

    そうです、本当に。命ある限りこの命に感謝して幸福に暮していきましょうよ。
    亡くなった愛する人がもし自分のことを見ていてくれるとしたら、悲嘆に暮れている姿よりも幸せそうにしている姿を望んでいると思います。  

  3. Yuki のコメント

    >keikoさん

    そうですね。残された者が死者に対してできることは、しっかりと生きて行くことぐらいでしかないように思います。そして、残していくであろう者達にできることは、できるだけたくさんの良い思い出を残していくことだと思います。

  4. Yuki のコメント

    >Mevrouwさん

    私も、私が死んでも、夫にはあまり悲しまないでほしいと思います。一人暮らしを謳歌するもよし、新しいパートナーを見つけるもよし、楽しくやってほしいものです。

  5. ぐらぐら のコメント

    yukiさんとは直接お会いしたことはないけれど、このブログとかメールのやりとりの中で感じられる優しさとか大きさとかって、こういう経験から育まれてきたのかなぁ?と漠然と感じました。

    今がハッピーってのが一番だよね!
    謳歌しなきゃね!

    • Yuki のコメント

      >ぐらぐらさん

      「優しさとか大きさ」 などと言っていただけると聞こえがいいですが、ただの楽天的な人という気もしますね・・・。

      でも、そうです、そうです。人生何があるかわかりませんから、楽しめるうちに楽しんでおくのが一番です。

  6. LiLA管理人 のコメント

    真面目な話の中で大変申し訳ないんですが,Life goes on braを聞くたびに,村上春樹のエッセイに出てきた超訳「人生はブラジャーの上を流れる」というやつを思い出してしまうのです.人生山アリ谷アリ,けだし名訳だと思うのです.

    • Yuki のコメント

      >LiLA管理人さん

      わは~。ありましたね、そんなの。
      春樹さんのエッセイは、けっこう力の抜けるものがありますね。牛も知ってるカウシルズとか。

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